『サバイバル・オブ・ザ・デッド』

サバイバル・オブ・ザ・デッド [DVD]

ホラー演出のチープ感はなかなか突出しているけどCG全盛の今でこそ新鮮な演出のような気がして面白い。
俺、幼少のころ従兄に無理やりゾンビを見せられた時、“大群で手を伸ばして追いかけてくる”シーンが恐ろしくて恐ろしくて仕方がなかった。しかも自分とは違う人種だから余計にリアリティがあって怖かったんだよね。
今の子供たちはこういう映画を見て怖がるんだろうか？最近はTVでやってる普通のヒーロー特撮でもCGや特殊メイクが進んでいるからなあ。
この映画でロメロは何を伝えたかったのか？
■人間ってのはどんな状況でも愚かだし醜い
■正義ってのはひとつじゃない
■手なずけることが可能なゾンビは人間の仲間なのか
でもこういう解釈は簡単すぎるような気もするな。というかもしそれだけならちょっと直接的すぎるかな。
上記三番目の「ゾンビを手なずけること」に関しては、登場人物たちがおのおのの主張をするわけだけど、たとえゾンビが言うことを聞くようになったとしても感染の危険性ってのはあるわけだから絶対受容できないと思うんだけどなぁ（唯一「ゾンビから人間に戻すことが出来る」方法が見つかった時だけならまた別だけど）。
初期ゾンビ映画にあった「世界に漂う終末の気配」や「圧倒的な絶望感」と言うのはほとんど感じられなかったし、それはもしかして意図的なものかも、と好意的に解釈することもできる。でもそういったものを期待する昔からの好事家の人達にはどうしても受け入れがたい作品かも。
でもこれがロメロの手による作品じゃなければ深読みせず酷評するかもしれないし、そもそも観てないかもれない。
でも90分は退屈しなかったよ。
【俺だったら・・・】
主人公の元軍人は前作登場時の印象と比べていつの間にか良い人になってしまったけど、どうせ続編なら徹底的に理不尽な悪役のままでいて欲しかった。
名家である二人のおじいちゃんの価値観の対立の中に第三勢力として入りこむくらいがちょうどいい。

★★★☆☆（星3つ）

にほんブログ村