『処刑人』

処刑人 [DVD]

処刑人 [DVD]

これ、公開されたことなど(製作年:1999年)全く知らず、たまたまTSUTAYAのサイトを見ていたら意外と評価が高かったので何気なく借りてみた作品。
いやぁ、それだけのものはあったよ。
題名からして「完全無欠のヒットマン」が出てくるかと思いきや、身体能力が凄く優れているわけでもなく(結構怪我するし)、筋肉モリモリのマッチョでもない、見た目ごく普通の(まぁ俳優さんなんでイケメンだけど)兄弟が、信仰心、というよりどちらかと言えば「根性と思いこみと勢い」で“悪い奴ら”をサクサク殺していく内容でした。
この兄弟にどことなく「脆さ」が感じられて心の奥底がヒリヒリしっ放し。「処刑人2」があることを知らなければそれはもっと強く感じられたと思う。「どっちか、もしくはどっちも死んでしまうんではないか」「こいつらはまかり間違えばただの悪党になってしまうんではないか」というような。

まず殺害後の現場でFBI捜査官が推察したあとに「何があったか」まで遡るとか、なんだか場面展開もスタイリッシュで映画のテクニックの可能性を久々に見せつけられたような気がします。
登場人物の中ではデフォー、ここにあり!という感じなんだけど、それがどういうものかを書くのは勿体ない。ぜひ作品を見てもらいたい。
主演の兄弟に関しては全く知らなかったけど、凄く演技が上手に感じだな。それも監督の見せ方のおかげなんだろうか。

ある意味ハチャメチャなのでおバカ映画と言えばそうなのかもしれない。
でも勧善懲悪ではなく、人が人を裁いていいのか、というのを最後まで観客に問いかけるのを忘れておらず、それでいて説教臭くならないようにするためのおバカ演出なのか、とも思えたりする。
そういうのももしかして大々的に売れた作品ではなかったからこそ、肩の力を抜いて観た結果かもしれない。
それに超大作でもなかなか感じることができないことが多い「ハッ!これはっ!」っていうような場面がいくつかある、ということは凄い武器だと思うのだ。

【俺だったらこうする】
観る人によって捉え方は違うだろうけど、監督自体「神の御加護」を斜め上から見下ろして表現しているように思えるなぁ。
それはともかく、あの「狂犬のような老殺し屋」の処遇はちょっとだけ微妙かな。ああなる以外にどうしろ、と言われても、単純に兄弟に殺されるだけではアクセントにならないし。
ああ、「2」は観たくないなぁ。この期待値を下げたくない・・・。

★★★★★(星5つ)

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