『グリーン・ゾーン』

ジャケットの写真がどうしても「ジェイソン・ボーン」シリーズを彷彿させていて、てっきりバリバリのアクション映画だと思ったら、意外と硬派な作風。ただしそこは流石ハリウッド、キチンとエンターテイメントしている。
アメリカのイラク侵攻の大義名分であった大量破壊兵器はあったのか?”ということだけれど、こういうのって「結局、大量破壊兵器は見つからなかったことについて、この作品の主人公が何か重要な働きをした」ってことは歴史的事実として“無い”って決まっているわけだよね。つまり「この映画で主人公がどんなに悪戦苦闘してもそれがどうにもならない」ってことは結末を観る前から確定している。
こういう場合、観る側としては
アメリカの暗躍を告発するようなドキュメンタリーに近いものとして観る
・まったくのフィクションとして観る
のどちらかに軸足を置くことになると思うんだけど、そこが最後までしっかり提示されていないから、なんとなくブレたまま、スッキリしないままに展開していったんだと思う。一方的に政府を悪役にするような流れもどうかと思うしね。
賛否が分かれた、ってのもよく分かる。
ただし、日本人にとってはイラク戦争とその後に関してはどうしても対岸の火事になってしまっていたから、そのアメリカ主導の政策に一抹の疑問を感じさせるために、迫力ある戦闘シーン・ギリギリのサスペンスを全面に押し出してハリウッド大作として魅せることができたのは実に痛快だと思う。
マット・デイモン演じる主人公が1vs1の場面で喧嘩に負けたり、苦戦したりするのは超人として描くよりも生々しくて良かった。

【俺だったら・・・】
上に書いた「もう少しドキュメンタリーに近いもの」にする。
合間合間に実際に戦闘に参加した軍人のインタビューを挟むとか。でもイラク戦争の総括ってのはあと何年もかかるんだろうからその時にもう一度『JFK』のような感じで撮ってもらいたいな。

★★★★☆(星4つ)

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