『月に囚われた男』

これ、ネタバレになっちゃいます。
そうしないと感想が書けない・・・。


紹介文を見たときに最初はてっきり完全SFミステリーだと思っていた。惑星ソラリスみたいな。
で、最後の最後にどういうことかって明かされるのかな、と。
でもこれは「犯人は××」とか「この事件は△△」ってことで引っ張っていない。比較的早めにどういう事態が起こっているのか分かっちゃう。
でもそれだから面白くない、ということではなくて、その総体が分かってからエンディングロールが流れるまでの間に視聴者に考える時間を与えていると思う。

つまりは「クローンとは何なのか」ってこと。
この映画に出てくる企業はクローンを取り換えのきく「モノ」としか考えていない。でもクローン自体は人と同じように考え感じることができる(が、肉体は完全でなく3年という期限がある)。
となるとその「クローンは道具なのか、それとも我々の仲間なのか」となる。最後はクローンの一人が地球に戻ったことによって企業が告発される、ということで終わるけど、あの説明はなくてもよかったなあ。
あと何年後か分からないけどこれは決してミステリーではなくて実際に起こりえる話だろうね。人間にまで及ぶのはまだまだだとしても「死んだペットのクローンは死んだペットと同じなのか?」とか。

低予算で作っているため登場人物はほとんど二人(ロボット込)だけど、それでもここまで描けるのだから映画って凄いなあ。